■耐久年数を維持する基本的な考え方■
茅葺屋根は、カヤ(チガヤ、ススキ、スゲ等の総称)の茎でふいた屋根であり、地方によってはアシも広く使われている。又、茅葺きは「わらぶき」とも呼ばれ地方によっては稲藁、麦藁を補助剤として用いるところもある。
茅葺屋根の建造物内には、居間に囲炉裏が作られており、人が住んでいたときにはそこで、火をたいて暖を取り、又は煮炊きをしていた。
この囲炉裏で燃やす薪はナラやクヌギ等の雑木が主であって、これらの雑木が燃える際には、木材煙が発生する。この煙は木材成分であるセルロース、リグニンが熱分解によって気化するものであり、煙には有機酸類、フェノール類、カルボニル化合物などの各種の有機化合物が含まれている。
これらの有機化合物には、茅等の表面 を樹脂膜状にコーティングして、外部からの雑菌などが進入するのを防止したり雑菌を殺す働きの他、油脂の酸化防止などの効果 がある。従って人が住んでいたときの茅葺屋根の家屋では、囲炉裏やカマドで燃やす雑木から立ちのぼる煙中の有機化合物によって茅葺やその骨組みなどがコーティングされ、又雑菌が駆除されると同時に腐敗処理され、いわゆる囲炉裏効果 による耐用年数をたかめた。
復元されたり移築した茅葺屋根建造物内では家屋での火気取扱がほとんど厳禁されているため、人が住んでいたときに得られた囲炉裏効果 が得られず、耐用年数が極端に短くなっているのが現状である。
この耐用年数をたかめるためには、家屋で火をたかずに燻蒸し、囲炉裏効果 の得られるのが理想である。上記の問題点に鑑みスーパーケムラーを用い、所望する煙を安定した状態で発生させ、この煙を家屋に送りこみ、内部からの燻蒸を実施し、茅葺屋根及び家屋内部の防菌、抗菌作用をたかめ更に、これらに寄生している昆虫類を追いだし、防虫効果 をたかめ茅葺屋根建造物全体の耐用年数を長期に維持することを基本的な考えとした。 |